特別講座『からだで語る物語の世界』(からだこえことばのWS)-19


◇日時 2017年12月10日(日)13時00分~19時00分
◇場所 新宿区若松地域センター4階和室「はなみずき」(団体名:ひとつ会)
新宿区若松町12-6(大江戸線若松河田駅より3分)
◇定員 6名
◇参加費 11,000円


作家の高橋源一郎さんの講演でお聞きした話です。奥さんが妊娠した時に、源一郎さんはお腹の子供さんに様々な物語を読み聞かせたそうです。どんな内容か?その数は?というお話は無かったのですが、おそらく童話など何十という作品を読み聞かせたことでしょう。作家さんというのは凄いと、私などは関心してしまうのですが、読み聞かせたときの反応を奥さんに毎回尋ねたそうです。お母さんは、お腹の子供さんの反応が何となくわかる。何十と読んだ中で、ある作家の作品にだけ、子供さんが反応したそうです。
聴講者への、源一郎さんからの質問は、「誰が書いた作品だったでしょう?」でした。聴講者席で、私はひとりニンマリしてしまいました。もちろん応えは、宮澤賢治さんの物語りでした。
賢治さんの童話(ことば)には、不思議な力があると私は感じています。声に出して読むと、表現を付けたり実感を込めたりしなくとも、物語りの世界がイメージとして聞き手の目の前に広がってくるのです。言葉の織り成すリズムと、声にした時に響きだす声の色合いが、流れあい響き合うようにして、物語の世界がみんなの眼の前、その場に立ち現れてくるのです。
原初の言葉、文字になる前の言葉の息吹が、日本語の縄文時代に通ずるいのちの激しさ(劇しさ)が、賢治さんの文章の中には閉じ込められている。私は、そんな想像をしたくなります。
物語りの根っこには、人間だけではなく、人間も含めた天地自然のおおらかな「いのち」交流の喜びが潜んでいるようです。それは太古から人間存在を貫く息吹でもあることでしょう。
ことばを語ることで、日常のストレスを離れて物語世界に遊び、自分や他者の生き生きとしたステキな姿に見える時間でもあります。ことばを語る喜びを体験したいと思う方は、どなたでもどうぞいらして下さい。
(せとじま・ばん)


◇申込み メールまたは電話にて、お名前・連絡用電話番号をお知らせください。
・メール karadazerohonpo@gmail.com
・電話 090-9019-7547(瀬戸嶋)
◇その他 当日はからだを締め付けない動きやすい服装を用意してください。(G パン・スカートは不向きです)
◇WSの内容については、人間と演劇研究所ブログをご参照ください。
・ブログ http://karadazerohonpo.blog11.fc2.com/


私は宮沢賢治の「ことば」に魅せられて来ました。
ことばのもつ独特の響き、リズム、音色。そしてそれらが私たちの「からだ」を通して語られるとき、いのちとしての自然の織りなす世界が、私たちの目の前に展開されます。
賢治童話は眼で読むだけでは、その素晴らしさに触れることが出来ません。それは彼がその妹や弟に読み聞かせることを前提として書かれたものだからでしょう。
野口体操で「からだ」をひもとき、竹内からだとことばのレッスンで「こえ」と「ことば」をひらき、賢治作品の世界イメージとの出会いを深めていきます。
ことばを語ること、声を発すること、仲間とからだ全体での響き合うこと。それらの「喜び」を体験してみたいと思う方は、どなたでもどうぞいらして下さい。
(せとじま・ばん)